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円満のはずが裁判沙汰に うまくいかない中小・零細のM&A

【M&A】
2012年6月 6日 20:41
truck2_0604.jpg 規制緩和以降、事業者数は増加を続けた。しかし、右肩上がりの経済成長が終わり、停滞する経済社会の中で徐々に変化も表れてきた。企業の合併や買収、いわゆるM&Aの事例も多く見られるようになった。ただ、M&Aは比較的規模の大きな会社間でのやりとりで、中小・零細企業では難しいとされている。後になって負債が発覚するなど、トラブルに発展するケースが少なくないからだ。千葉県の事業者は、立ち行かなくなった事業者を支援したことで、結果的に裁判に発展するという予期せぬ事態に巻き込まれたという。

 この会社は、日ごろから付き合いのあった同業者の社長から経営に関する相談を受けていた。その会社は古くから引っ越しなどを手掛け、同社よりも社歴が長かったが、時代の流れについていけず、徐々に業績を悪化させていったという。

 社長は、水面下で資金を工面するなどの支援を行ったが、結局、維持していくのが困難となり、同社が事業を引き継ぐことで話がまとまった。

 ただ、その会社には多額の負債があった。その負債まで引き継ぐことは不可能で、事業だけを買い取るという形態をとった。双方が納得する形で引き継ぎは進み、最後は握手をして別れた。社長は、倒産しかけた会社の事業を挽回するため、あの手この手を打っていく。

 そんな矢先に、社長の下に1通の内容証明が届いた。事業を引き継いだその事業者からだった。内容は、同社に金銭の支払いを求めるもので、「乗用車のリースの残金を肩代わりすること」「相談役や顧問として在籍し毎月20万円を報酬として支払うこと」などが記されていたという。

 「まったく予期せぬ出来事でしばらく動けなかった」と振り返る社長。「最後は涙まで見せた相手。そんな人ではない、きっと周囲に言いくるめられているのだ」と感じ、何度も接触を試みるが、相手は電話にも出ず、接触を拒んできた。

 ただ、請求内容は到底理解できるものではなかったため、請求を一切飲まなかった同社に対し、相手は訴えを起こし、争いは法廷へと持ち込まれた。裁判は周囲の知るところとなり、「あくどいやり方で事業を買収した」と、同社を非難する声も出ていたという。

 口頭弁論、事実審理、弁論終結と進む過程で、地裁の裁判官から社長に和解の申し入れがあったという。しかし、裏切られたという思いは強く、一切応じずに判決を待った。

 そして今年4月、相手の請求を棄却する判決が下った。昨年4月に始まった訴訟は1年がかりで決着を見た。同社の非は認められず、事業の譲受が正々堂々と行われたことが証明されたわけだが、社長は、「何ともしっくりこない」という。「裁判に勝ったから嬉しいということでもなく、この裁判によって得られたものは何もない。引き継いだ事業が順調にいけば、顧問として報酬も考えていただけに寂しい」と話している。(高田直樹)

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