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コンプラ経営目指したが... 方針転換に反発する古参幹部

【労務問題】
2012年10月 5日 20:37
 腐ったみかんの処理を間違えば会社の存続もままならない。かといって、そのまま放っておくこともできない。そんな悩みに苦しむ事業者がいる。行政の監査体制や罰則強化が及ぼした影響によるものだが、コンプライアンス経営を目指そうと取り組み始めた矢先の問題に、事業者はいま、難しい選択を迫られている。

 千葉県の事業者はこれまで、ドライバーの労働時間の管理もおろそかに、売り上げ至上主義を貫いてきた。そのため、1日15時間や16時間の労働は日常茶飯事だった。ドライバーの給料は、売り上げのパーセントを支払うという成果報酬型を導入しており、時間外や残業代という概念さえ持っていなかった。

 しかし、悪質事業者の排除を目的に、国交省が監査体制の強化と罰則強化を進めた。その結果、同社も適正化の巡回指導などで、ずさんな管理を指摘され改善指導を受けた。車両停止や事業停止など、厳しい行政処分も避けられない状況となり、ついに労務管理の徹底を図るなど、コンプライアンス経営に乗り出した。

 それまでの、長時間労働を改善する一方で、無駄を省き効率化を求めていった。トラック積載率の向上などは、ドライバーや従業員の動きが重要になってくる。会社の指示に従い、いかに無駄を省いて効率よく動けるか。社長は、従業員の意識改革を促した。従業員の多くは現状を理解し、会社の指示に従う姿勢を見せた。しかし、一部で不満の声が上がり、従うのを拒む従業員が出てきたという。

 その従業員は古参の幹部で、会社の方針転換に難色を示し、これまでのやり方を変えようとしなかった。長年、慣れ親しんだことを変えるのは容易ではない。社長自身もそれは理解できた。だが、法令を無視して会社がつぶれたら元も子もない。「会社のやり方に不満があれば辞めてもらっていい」。社長は幹部に退職覚悟で迫った。

 社長の覚悟は相手には通じなかった。辞職を拒み、仕事を続ける意思を示したものの、改めることはなかった。再度、注意すると今度は労基署へ駆け込むと言ってきた。幹部はドライバー管理の立場にある。これまでの長時間労働はすべて把握している。また、残業代を支払ってこなかったことも知っている。労基署に駆け込まれると、そうした事実が発覚してしまう。そうなれば会社は存続の危機に陥ってしまう。

 労基署への駆け込みを臭わせるため、幹部の首を切ることをためらってしまうと社長はこぼす。とはいえ、会社の方針を守らないなど、幹部が会社に与える影響は大きい。ほかの従業員へ波及するのではないかと社長は恐れている。

 改心の姿勢が感じられない幹部の解雇に踏み切るか、はたまた、そのままの状態で我慢していくのか、社長は苦しい決断に迫られている。(高田直樹)

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