COLUMN COLLECTION | 連載コラム

運送経営相談室

コヤマ経営・小山雅敬氏が経営者の疑問を解きます。

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。 平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。 中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

第104回:社員を育てたいなら損害負担や減点主義をやめよう


 【質問】わが社は車両事故や商品事故を起こしたドライバーに、損害の一部を負担させています。事故を減らす目的で従来から続けていますが、最近、一部の社員から不満の声が出てきました。今後、見直しを検討していますが、どのように考えれば良いか教えてください。

 故意や過失で事故を発生させた社員に、その損害の一部を負担させるやり方は多くの運送会社で行われています。法に基づき請求すること自体は問題ないのですが、一部には「社員が起こした事故の修理代は本人に負担してもらいたい」との考え方もあるように思います。

 しかし、労働基準法は事前に賠償額を定めておくことや、一方的に賃金から控除することを禁じています。例えば、保険料を節約する目的で保険免責額を高めに設定し、決められた保険免責相当額を運転者本人の負担にするというルールを定めた会社も見られますが、これは事前に賠償金額を定めるもので望ましいやり方とは言えません。その他、修理代の○割は本人負担と定め、本人の承諾なく「事故費」として給与から控除している会社も見られます。

 いまだに旧態依然たるやり方が残っていますが、そもそも、これだけ人手不足が深刻化し、若い人材をいかに採用できるかが最大の業界課題となる中、若手社員が最も嫌う事故賠償金制度を見直すことは必然と言えるでしょう。昔の制度は早めに見直し、新しい加点主義の制度に変えていきましょう。

 この際、事故防止に対する意識の向上と事故損害賠償とは切り離して考えるべきです。具体的には賠償金制度をやめて、「安全評価」制度の中で安全行動を評価し、「安全評価手当」に反映する仕組みに変えることが考えられます。この考え方は事故に限ったことではなく、荷扱いや安全走行、洗車、マナーなど日常行動に対する評価の反映方法についても同様のことが言えます。駄目だから賃金を減らす、出来ていれば減らさない、という減点主義では社員のモチベーションアップにつながりません。期待行動を明示したうえで、その遂行度合を評価し、期待を上回る行動が見られた時は賃金を上げる仕組みこそがモチベーションにつながります。

 今後、社員を育てたいなら減点主義を辞めて加点主義に変えていくことをお勧めします。従来の手当評価額に120%の加点を加えることでも簡易に修正することが出来ます。それで多少の持ち出しが発生したとしても社員のやる気を引き出し、誘導することが出来ればメリットは大きいのです。

2016年3月 4日 16:40

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