COLUMN COLLECTION | 連載コラム

経営コンサルタントの現場報告

物流専門のコンサルティングを手がける㈱シーエムオーの代表取締役・川﨑依邦氏が、
実際に体験した労務問題を報告。取り組み内容などを詳しく紹介します。

昭和24年、広島市で生まれる。早稲田大学卒業後、民間会社で人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。㈱日本経営から昭和63年に独立開業、平成2年法人設立。「物流経営研究会」を組織。物流業界でオンリーワンの経営コンサルタント会社を目指す。
シーエムオー 川﨑依邦 代表取締役
お問い合わせは http://www.cmo-co.com

経営再生物語(149)ゼロになるまでヤル〈事例A〉


 〈厳しい状況の直面〉

 今までは楽であった。一つの荷主に15台ばかり専属車を入れているので、配車の苦労がない。配車は荷主のほうでやってくれる。社員の欠勤時の対応さえキッチリやっておれば問題ない。代行ということで、経営者がハンドルを握る。
 いわゆる一般管理費は、ほとんど掛からない。自宅兼用の事務所で、留守番、電話番の女性が一人。この女性は経営者の奥さんである。よく働く。給与計算の担当でもある。
 経理は、一言で言って「他人任せ」である。決算書の作成、月次の試算表の作成は税理士任せである。奥さんは、資金繰りさえしておればよい。要するに、お金さえ回ればいいわけである。このスタイルで長年やってきた。もうかることもあった。笑いが止まらないこともあった。社員を連れて、月1回は高級なすし屋でドンチャン騒ぎをしていたころもあった。それも今は、はるか昔のことになった。決算になると、税理士と相談する。「今年は、どのくらいの税金にしますか」。この調子でいけたのである。
 ここ5年は、税金どころではない。実質赤字の連続である。
 「これから、どうしたらいいのでしょうか。現行よりさらに10%ダウンすると、いよいよ厳しい。30年間頑張ってきましたが、つらいですよ。辞められるものなら辞めたいですよ。しかし、ここで辞めたらどうなるか。車の借金が残る。銀行の借入金をどうするか。このまま行けば倒産です。10%ダウンを承知しても、このままいけば倒産です。早いか遅いかの差だけです」
 経営者夫婦には長男がいる。長男は30歳。家業は継いでいない。どういうわけか、大学院を卒業し、学者の道に入っている。それも心理学の世界である。心理学と運送業ではギャップがある。学問の世界とハンドルの世界のギャップである。「今さら息子に、帰ってこいとは言えません。息子には無理です。こんなしんどい仕事を継げとは、親としては、よう言いません」
 社員は平均年齢50歳に近い中高年ドライバーの集団、後継者もいない、主要荷主からの値引き攻勢が続く。しかも、経営者も高齢である。確かに前途は厳しい。途方にくれるとは、このことである。「どうしたらいいのでしょうか」との声が迫ってくる。

2017年3月31日 11:40

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