COLUMN COLLECTION | 連載コラム

運送経営相談室

コヤマ経営・小山雅敬氏が経営者の疑問を解きます。

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。 平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。 中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

第130回:今のうちに全荷主と燃料サーチャージを交渉すべきか?


 【質問】数年前、燃料が高騰した時期に、燃料サーチャージの導入を検討しましたが、その後、燃料価格が沈静化し、導入しないまま現在に至っております。今般、全荷主と運賃値上げを交渉するにあたり、燃料サーチャージの導入についても併せて交渉すべきでしょうか?

 軽油価格が2009年を底に長期上昇傾向を示していた頃、トラック運送業界全体で燃料サーチャージ導入の機運が高まりました。ところが2014年の夏をピークに軽油価格が下落し始め、2016年春に底を打つまで下がり続けました。本来、燃料価格の変動に左右されない経営体質を築くための燃料サーチャージでしたが、燃料価格の低下で、制度の導入に向けた熱が少し冷めた感があります。
 現在、中小運送会社で燃料サーチャージを全荷主と締結している会社は、まだ少ないのが実態です。燃料サーチャージは燃料価格が低下した時期に取り決めておくと経営上のメリットがあります。最近の軽油価格は徐々に上昇傾向を示しています。燃料価格が今後、どう動くかは国際政治・経済の動向次第であり、現在の混沌とした世界情勢の先行きを予測することは困難ですが、過去10年程度の軽油価格のトレンドを見ると、上昇リスクを考えるべきでしょう。今は燃料サーチャージの交渉を全荷主と行うタイミングです。
 また、今のうちに燃料サーチャージを導入すべきと考える理由の一つに、人手不足があります。運送業が安定して経営を維持するためには今後、不可避となる人件費上昇分を運賃価格に適正に転嫁させる必要があり、燃料価格の変動とは切り離して交渉することが必要だからです。燃料価格の変動リスクは燃料サーチャージに分離したほうが得策です。燃料サーチャージの計算方法や契約の中身は各社まちまちであり、運賃に一定の上昇割合を掛けてシンプルに決めている会社もあれば、車種別平均燃費と平均走行距離および燃料の現在価格と基本価格の差(価格変動額)を基に計算している会社もあります。今後検討するなら、原価管理とリンクさせて決定するほうが数字に説得力が出ますし、サーチャージを適用する価格変動幅も現実的な10円程度に設定すべきでしょう。
 なお、人件費の上昇分について運賃交渉する際も、どの程度、人件費負担が増えたかを明確に説明できるようにしてください。賃上げは基本給の中に組み込むのではなく、例えば「処遇改善加算」など判別できる支払い方が望ましいでしょう。運送業の経営は今後ますます難しくなりますので、一歩先を読む先取り経営が望まれます。

2017年4月13日 16:48

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