COLUMN COLLECTION | 連載コラム

経営コンサルタントの現場報告

物流専門のコンサルティングを手がける㈱シーエムオーの代表取締役・川﨑依邦氏が、
実際に体験した労務問題を報告。取り組み内容などを詳しく紹介します。

昭和24年、広島市で生まれる。早稲田大学卒業後、民間会社で人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。㈱日本経営から昭和63年に独立開業、平成2年法人設立。「物流経営研究会」を組織。物流業界でオンリーワンの経営コンサルタント会社を目指す。
シーエムオー 川﨑依邦 代表取締役
お問い合わせは http://www.cmo-co.com

経営再生物語(155)5S表彰制度〈事例A〉

〈トラブルは命取り〉

 A社は荷主から厳しい物流サービス向上の要請を突き付けられていた。

 ①運賃を現行より10%値引きする。

 ②これから誤着回数が1か月で1コースにつき3件発生するごとに、そのコースをほかの運送業者に変更する。  ③乗務員の態度、言葉遣いが悪く、着荷主からクレームが発生した場合、始末書を提出する。クレーム件数が1か月に3回発生するごとに、ほかの運送業者に変更する。

 「厳しいなあ」----。A社長は頭を抱える。A社は社員と契約社員の比率が半々である。契約社員は1日どのコースを走ればいくら、といった日給型の給与条件である。気質上、アルバイト感覚の者が多く、セールス・ドライバーとはほど遠い。平たくいえばフリーターである。物流品質を押し下げている集団である。

 それに比べると社員はまだましであるが、1時間当たりの人件費コストが契約社員と比べて高い。約2倍である。どうしても収益面からいって、社員をこれ以上増やすわけにはいかない。赤字必至となる。そのうえ10%の運賃値引き、誤着やクレーム回数が増えると、運送収入も他社に持って行かれる。

 「前門の狼、後門の虎」と、A社長は悩む。そのうえ配車担当者もハードな日々の連続で精いっぱい。時間の余裕がない。午前3、4時からスタートして、一応の区切りがつくのは夜の7、8時。こうしたハードな状態が続いている。「家に帰って最初に風呂に入ると、出たらそのままバタンキューと眠ってしまうので、まず食事から始めます」----。体の続く限り働いている。

 「これ以上、どうしたらいいのか」。いわゆるフリーター感覚の契約社員ドライバーは、「金」のみが働く目的である。「事故を起こせば退職すればいい」といった感覚である。荷主はそうはいかない。いくら契約社員とはいっても、A社のドライバーには違いない。物流品質を落とせば、即A社の運送収入ダウンという形で響く。  (つづく)

2017年6月 1日 17:23

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