COLUMN COLLECTION | 連載コラム

経営コンサルタントの現場報告

物流専門のコンサルティングを手がける㈱シーエムオーの代表取締役・川﨑依邦氏が、
実際に体験した労務問題を報告。取り組み内容などを詳しく紹介します。

昭和24年、広島市で生まれる。早稲田大学卒業後、民間会社で人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。㈱日本経営から昭和63年に独立開業、平成2年法人設立。「物流経営研究会」を組織。物流業界でオンリーワンの経営コンサルタント会社を目指す。
シーエムオー 川﨑依邦 代表取締役
お問い合わせは http://www.cmo-co.com

経営再生物語(158)無事故運動〈事例A〉

〈改善への第一歩〉

 「困ったことになりました。メーンの荷主さんが、わが社の運送収入の80%を占めていますが、この荷主さんから『取引を中止するぞ』と言われています。理由は、うちの運転者です。これまで何回も、『服装がだらしない』とか、『言葉遣いがなっていない』と注意されていました。今回は、大きな交通事故を起こしたのです。荷主さんは、カンカンです。どうしたらいいでしょうか」(A社長)

 A社は創業30年で、メーン荷主と一緒に歩んできた。「取引中止」の宣告を受けている。A社長は、青くなっている。「このままだと、本当にダメになります。荷主さんは『物流品質向上のために、これからどうするか。無事故にどう取り組むか。1週間以内に改善レポートを作成して提出せよ』と言ってます。なんとか改善レポートを提出しないと、ダメになります。ご協力下さい」。A社の社長が筆者に依頼した内容である。

 「社長のところは、いままでどんな安全対策の取り組みをしてこられましたか?」

 「とくに安全対策というほどのことはしていません。運転者の顔を見て、『事故を起こすなよ』とか『気を付けて走れよ』と、たまに言うぐらいのものです。いままでは、これでやっていけたのです。荷主さんも大目に見てくれていました」

 A社は、車両数20台ばかり。社長自ら、メーン荷主の出荷センターに早朝7時から出向いて、フォークリフトに乗って、出荷の段取り作業を行っている。この作業は、無料サービスである。そのうえ運賃は、この3年間に20%もダウンしている。こうした状況の中で、メーン荷主に「このままの乗務員レベルだと、取引を中止する。改善レポートを提出せよ」と迫られている。

 「社長のところは、いままで安全をテーマに職場ミーティングをしてきましたか?」

 「職場ミーティングはしたことありません」

 改善の第一歩として、職場ミーティングを開くこととした。日曜日の午前中に、社長の自宅に集まることになった。企業として生きるか死ぬかに直面しているということで、乗務員を説得して日曜日に集まることとした。職場小集団活動のキックオフである。

 改善レポートのポイントは、『無事故をテーマに職場小集団活動を開始する。小集団活動発表会を6か月後に行う。その席にメーン荷主の物流担当者を招く。そこで取引の継続か否か、断を下してもらう』にある。

      (つづく)

2017年6月23日 14:25

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