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築地市場移転 物流の視点からみた問題点とは

【荷主トラブル】
2017年8月25日 12:20
tsukiji.jpg 日本中で獲られた魚介類が集まる築地市場。水産物の取扱量が1年あたり43万㌧以上、取扱金額4401億4500万円(平成28年度築地市場概要より)と、世界最大級の取扱規模を誇る。また、水産物を中心に青果物も取り扱う築地市場には毎日、約1万9000台(同17年9月調査)の車両が入場して入荷や配送を行い、約4万2000人(同14年11月調査)もの人が活動している。1935年に開業した同市場では、施設全体の老朽化や市場の狭さから、豊洲新市場への移転計画が動き出していた。しかし、一連の報道で周知の通り現時点では移転が延期され、移転日も確定していない状況にある。こうしたなか、築地市場の物流を担う運送事業者を中心に、物流の視点からみた築地と豊洲の現状や課題、問題点などについて聞いてみた。

 築地市場関連の運送事業者136社による組織団体である東京都中央卸売市場輸送協力会(椎名幸子会長、中央運送社長)は築地市場について、フラットで開放型であるため、非常に使いやすい市場だとしている。だが、生鮮食品を扱う施設としては老朽化が激しく、かもめのフンや大量のねずみなど、衛生面において問題があるとして、新市場への移転には賛成の立場を取る。椎名会長は「築地は市場そのものにブランド力があり、文化と歴史もあるので大事にしていきたいという気持ちもあるが、食べ物を扱う施設として衛生面に問題があるのは事実」とし、新市場への移転はやむをえないとの考えを示している。

 ただ、新市場については、横移動ができる築地と違って縦移動となるため、「交通動線という観点で、対応するためにはそれなりに工夫が必要」とし、「運送に関しては現場力があるので対応できると思うが、移転後1年はいろいろな混乱が生じると思う」としている。

 運送事業者で築地市場に本社を置く東発(中央区)の松本正和社長は、「これまでの流れのまま市場の物流が変わらないのであれば正直、築地で困っていることは特にない」と話す。「長い歴史のなかで、ある意味、築地市場での効率化はされており、現状でほぼ完成形になっている。これから先を考えると新たな変化に対応できないという問題はある」という。また、「新市場では、これまでにやったことのないことをしなければならなくなるので、慣れるまで混乱が生じる」と不安を抱えているが、「時代に合わせて新しいやり方や考え方を採り入れるチャンス」ともみている。市場は、卸や仲卸がメーンとなる施設ではあるが、物流がなければ成り立たない。「豊洲はその立地から、車の重要さがさらに増してくる」とし、「温度管理ができる新市場では、築地より効率的な動きができる可能性もある」と期待している。

 同じく、場内に本社を置き、築地に入ってくる荷物のほぼ半分を取り扱っている松栄運輸(永倉隆幸社長)。築地市場の安全面に関して山田利松本部長は、「歴史と文化のある築地市場は、連日多くの観光客で賑わっている」と話す。「市場ではターレ(ターレット式構内運搬自動車)やトラックなどの車両が、時間との戦いで動いている」とし、「車両との接触など事故にならないために、市場での観光はルールを守って行動してもらいたい」と話す。

 このほか、築地市場の水産物や青果物を専門に取り扱う陸王運輸(三浦隆社長、千葉県浦安市)の三浦亮常務は、新市場について「面積は築地より広くなるが、縦移動になるので、使い勝手が悪くなるのでは」と考えている。さらに、「荷物が集中する時間に、三つの街区に分かれている市場内の搬送がスムーズにできるか不安」とし、「シミュレーションすると、築地に比べて時間のロスが1時間生じるので、作業の前倒しが必要」という。ただ、建物自体は素晴らしく、温度管理もできることから、「新市場に移動して慣れるまで不安だが、当社の強みであるスピード力を生かせるように順応して、効率化を図っていきたい」と、移転に合わせて準備を始めている。

 築地市場には、卸や仲卸、運送事業者のほかに、飲食店などの買出人の荷物をまとめて保管する買荷保管のサービスを行っている組合組織が古くから存在している。同市場で最も古くから行っている潮待茶屋企業組合(今井重成理事長)は、新市場で混乱が生じないように、1年かけてシミュレーションを行っている。今井理事長は「買荷保管で動いている車両は1日1500から1600台。勝手の違う新市場で、どのように車両を回すか調整が大変」としながら、「シミュレーションするのも限界があるので、早く移転日を確定して欲しい」と願う。「築地は大好きだが、我々にとって買出人が便利だと思ってくれれば、市場はどちらでも構わない。買出人のため、どうやったら衛生管理の行き届いた品を配達することができ、手助けになれるかを模索している」という。

 同じく、買荷保管を行っている買荷保管企業組合(福田隆理事長)では、これからの時代に合わせて新市場の移転は仕方がないと考える。福田理事長は「トラック輸送の時代になって、食品流通施設としては冷凍や加工など、鮮度管理や衛生管理が重要」とし、「築地では鮮度管理や衛生管理の面で難しくなっている。新市場には、築地でできなかった部分の効率化を期待している。運送事業者とタッグを組んで、分かりやすいシステムを作って新市場に行きたい」と話す。「築地市場には文化と歴史があるため難しい部分もあるが、良いところを継承しながら豊洲文化を作っていかなければならない」と考え、「市場関係者の皆が一つになって取り組む必要がある」

 このように、築地市場にかかわる事業者の多くが衛生面や安全面で、移転にはおおむね賛成している。ただ、移転後は慣れない施設での作業となるため、混乱が生じると予想され、新市場の開場の時期は、都も慎重に検討しなければならない。慣れ親しんだ築地でも毎日が時間との勝負であり、ギリギリのところで回している。築地市場の敷地面積は23万836平方㍍で、建物延べ床面積28万476平方㍍、駐車台数4580台。移転先となる豊洲市場は40万7000平方㍍(概算値)で、建物延べ床面積51万7000平方㍍、駐車台数5100台と全体的に大幅に拡大される。

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