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食品輸送の現状 徹底した品質管理

【その他】
2017年9月 8日 12:20
syokuhinyuso.jpg 24時間・365日、仕事がある食品輸送。消費者の口に入るものを輸送するだけに、品質管理は徹底しなければならない。特に温度管理は重要で、これを怠れば食中毒など重大な問題を引き起こしかねない。今回、食品輸送を手がける運送事業者に「徹底した品質管理」について、また、食品輸送用の温度ロガーを販売している業者に「温度管理の重要性」について話を聞いた。

 食品輸送の温度管理が問題となったのは平成25年10月。厚生労働省は「運送事業者において適切な温度管理が行われていない」とし、各都道府県や保健所設置市に対して「食品の運搬に係る適正な温度管理」について指導の徹底を求めた。同省では「食品の輸送に関しては食品衛生法で『衛生的に』運搬するように求めている。衛生的であるということで温度管理も含まれると考えられる」と指摘。輸送中の衛生管理について、だれが責任を取るかについては「運搬については短距離・長距離・自社便など、あらゆる形をとるので業態による。どこが対象になるかは自治体の考え方にも左右され、ケースバイケース」という。

 冷凍とチルドに力を入れている横浜低温流通(伊澤進社長、神奈川県厚木市)は、荷主の求めていることを実行するため、個々の取り扱い商品の最適温度帯を備えた生鮮センターの開設と、最適温度で輸送する車両の開発・整備を行ってきた。同社の生鮮センター(倉庫)では、作業場と保管エリアなどで温度管理を徹底し、停電や災害時の対策として、大型リチウムイオンバッテリーを搭載したソーラーシステムでOA機器や電灯などの電力として蓄電池や冷凍機への電力供給を行っている。車両の基本仕様は冷蔵冷凍車で、全ての車両が2層対応可能。適正な温度で輸送できるように、年2回点検を行い、安全面でも会議を毎月、複数回行う。さらに、インターネットデジタコを全車両に搭載し、温度情報や位置情報を管理する。食品輸送で事業者が最も注力しなければならないこととして伊澤社長は、「メーカーから預かった商品を納品するまで同じ状態で送り届けること」とし、「うちでは、工場でパックされ、さらに梱包した商品を運んでいるので、衛生管理というよりは温度管理を徹底している」という。冷凍やチルドの車両や倉庫を整備して管理体制を強化するとともに、提携する全国の協力会社40社がサービス品質を維持するため、共栄会という組織を作って年に3回、勉強会を行っている。伊澤社長は、「うちの看板を背負って仕事を請け負ってもらうため、うちのシステムやルールを厳守してもらわなければならない」とし、「取引先の指示を守ることが、食品の安全・安心輸送だ」と考えている。

  関東圏を中心に生鮮食品やチルド製品、冷凍食品などの食品運送を行っている山一運送(山崎和弘社長、埼玉県八潮市)。温度管理に対して、徹底した管理体制で取り組む。所有する車両は100台以上で、その全てがほぼチルドと冷凍の車両。同社では、温度管理ができる最新のデジタコを全車両に導入して、リアルタイムで動態管理を行っている。車両設備の温度が保たれているか常に確認するのと同時に、故障など問題が生じた場合、すぐに対応できる体制をとる。山崎社長は「事業者が注力できるのは温度管理と衛生管理」とし、「温度は常にメーカーの指示通りにやっており、衛生に関しては車両を常にきれいにすること」。そのため、軽から大型までチルド並びに冷凍車両は全て新車を購入するなど、積極的に設備投資を行っている。山崎社長は「投資するべきところに投資しなければ、利用者から信頼を得る仕事ができず、結局はマイナスになってしまう。目先の利益を追求せずに、先行投資を行ってきた」と話す。取引先のメーカーから信頼を得るために、「利用者の立場で対応することが大事」と考え、食品を運ぶ車は常に清潔にきれいにすることを徹底し、ドライバーも制服を着て対応するなど、温度管理以外にも細心の注意を払っている。「適正運賃で仕事をいただくためにも、時代に合わせた設備投資や徹底した管理システムで、企業価値を高めていく」としている。

 名古屋におけるコンビニ物流のパイオニアであるマルセイカンパニー(金田清隆社長、名古屋市港区)では、車載器や車両など設備を活用し温度管理など商品の品質保持を行う。全車デジタコによる温度管理がリアルタイムで行われており、荷室の温度が基準を上回るなどの温度異常があればアラームが鳴るといった対策を施す。山田孝幸マネジャーは「1日に複数の店舗配送を行うため、荷台を何度も開閉することになり、その際に冷気も外へ出てしまう。荷台開閉部分へカーテンを付け、外気との接触を抑えるほか、開閉を最小限にするようドライバーに指導している」とし、他にも「短いスパンで何店舗も荷下ろしの予定が入ると、冷気が逃げた荷台がもう一度、冷えきる前に開閉される、というケースが続き、徐々に温度が上がっていく。そのため、荷主と交渉して駐車場でエンジンをかけたまま待機できるよう体制を整えたり、ドライアイスを荷台の中へ入れるといった対策をしている」と話す。さらに「夏などは特にそうだが、空箱もかなりの熱を持っている。空箱を回収する時は商品から離して、荷台の入り口近くなど温度を上昇させない場所へ積むといった工夫をしている」という。山田マネジャーは「今は消費者が、どの会社の商品の味が良いか比べる時代。我々も配送で品質を劣化させないよう尽力しなければ」と話す。

 医療製品を安全に輸送するための高性能保冷・断熱容器を製造・販売してきたトレンドサイン(東京都新宿区)はこのほど、食品輸送を「安全に輸送するために今後、必要不可欠となる容器と温度ロガー」の販売を開始した。佐々木靖明社長は「冷凍製品の場合、スタート時と荷受け時に凍っていたとしても、輸送時に冷凍されたまま輸送されているかどうかを確認できない場合が多い。その不安をなくすために温度ロガーは欠かせない。医療用製品の輸送で培ったノウハウを食品輸送に役立てたい」と話す。同社の温度ロガーを商品とともに輸送しておけば、「例えば、5分ごとに設定しておけば、輸送中、5分おきの温度変化を確認できる。ロガーを商品とともに輸送するだけで『きちんとした温度管理のもとで輸送しました』という証明になる」。4㍑から80㍑まで幅広い容器を扱い、「一升瓶をそのまま立てて輸送することも可能。品質を維持するため、どのような温度で輸送されていたかを把握していくことは今後、ますます重要になる。『輸送中に解凍したのではないか』というクレームにも対応できるだけでなく、輸送事業者が品質を証明するツールとして欠かせないものになるだろう」と話す。同社の保冷容器は医療用として開発されており、「危険物の輸送にも対応できるだけの品質を保持しており、今後、どのような輸送ニーズにも対応できる」と言い切る。温度ロガーは電池式で「2年間は使い回しが可能」。電波式にしなかったのも「コストを下げて気軽に利用していただくため。温度ロガーは校正証明書付きの本格的な製品」とし、輸送事業者が自身の身を守るため今後、欠かせないツールとなりそうだ。

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