COLUMN COLLECTION | 連載コラム

射界 政治や経済、文化、歴史など、幅広い分野から現代社会に一石を投じる。様々な問題が生じる現代をどう生きるべきか、鋭い観点から示唆・提言します。

 「うまい話は二度考えよ」と古賢は教える。耳障りがよく、自分にとって利益をもたらす話に、つい乗ってしまうのが人間だ。最近の特殊詐欺事件を思い合わせれば納得がいく。「そんな!」と一度は否定しながら、まんまと相手の掌中にはまる。それこそ相手の思うツボ。一度信用すれば全て肯定したくなる。それが人間心理だ。
 ▲うまい話には、どこかに陥穽がある。相手としても当然、そこに導くのが目的で、あらゆる甘言を駆使して誘い込みを図る。明かされた特殊詐欺の手口を見れば、完璧とも言える応答シナリオが用意されているから、お人よしの高齢者はイチコロだろう。「おいしい話にはトゲがる」とも言う通り、隠されたトゲに思いを馳せなければならないのに、欺かれた肯定感が否定感を希薄にする。

 ▲ドイツの文豪ゲーテは「行為の最中にも思考の余地がある」と説き、随筆『徒然草』の作者吉田兼好は「しやせまし、せずやあらましと思う事は、おおようはせぬがよきなり」と言っている。欲深い心根が働くと正しく見る目を曇らせ、決断を鈍らせる。そうならないためには、あまり多くを望まず、自分にふさわしい取り分を...と考えて対応すればよい。そうすれば案外、すっきり決断できる。

 ▲うまい話が持ち込まれて「天からの授かりもの」と有頂天になりがちなのも人間。巧妙にトゲは隠され、落とし穴が用意されていることにも気付かなくなる。「話ができ過ぎ」と少しでも感じたら、少なくとも二度、三度と考え、できれば信頼できる人に相談するのが無難である。騙しのテクニックは日に日に進化している。いま一度、大きな傷を負わないよう、冷静になって是非を考えたい。

2017年10月19日 12:58

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