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「事業承継」各社の取り組み 課題はさまざま

【労務問題】
2017年10月 6日 19:01
 団塊の世代が70歳を迎え、中小企業の経営者の多くが数年の間にリタイアを考えているといわれている。だが、身内に会社を継ぐ意思がない、任せられる人材がいないなど、中小企業の経営者は事業承継問題に直面している。事業承継を行った運送事業者では、どのように事業継承を進めてきたのだろうか。親族内承継や役員や従業員の親族外承継を行った事業者に話を聞いた。

 キーペックス(千葉県千葉市)は4月1日、齊藤宏会長の次男である齊藤進氏が社長に就任。同社は齊藤会長が父の創業した墨田倉庫の子会社としてスタートしたあと、墨田倉庫運輸として独立。1992年に現在の社名に変更した。齊藤会長は「早い時期から次男の進氏に継がせることを決めていた」という。そのため、後継者として育てるために、子どもの頃から意識付けを行い、20代でグループ会社に経験を積ませるために入社させた。

 齊藤社長は、グループ会社で経験を積んでいるなか、病気で入院することになってしまった。職場に戻れず、『後継者にはならない』と、海外へ移住。父の会社から距離を置いた。しかし、海外で大病にかかって日本に帰国。父から会社に戻ることを勧められ、「自分は周りに生かされている」ということに気づいた進氏は、「ここでやるしかない」と決心した。事業を承継するうえで齊藤社長は「引き継ぎの準備期間のないまま、社員との関係を築くことが一番大変だった。私個人への不平不満もあるだろうと考えると、精神的に辛かった」という。ただ、「この経験によって社長として腹を決める覚悟ができた」と話す。

 積極的に社員とコミュニケーションをとることで、経営者の思いと従業員の思いを理解しあうことに力を入れ、少しずつ信頼関係を築いていった。「会社は人がいなければなりたたない。人が一番重要」と考え、「先代が育ててきた会社の強みを伸ばしながらも、規模の拡大を目的とはせず、『守破離』の方針で100年企業をめざす」としている。

 同じく、親族内で事業承継を行った美喜運輸(東京都西多摩郡)では8月1日、創業者の當間英喜会長の娘婿である比留間文明氏が社長に就任。大手飲食チェーンの社員を経て、運送会社のトップを引き継いだ。比留間氏が勤めていた職場に会長の次女がアルバイトで働いていた縁で結婚。会長からの誘いもあり、運送業界に足を踏み入れた。比留間氏はまず、大型免許を取得し、1999年に同社に入社。はじめは4㌧車に1年、大型車で約10年ドライバーとして働き、現場の仕事を学んだ。現在74歳の當間会長は、当初から70代になったら社長を退任する考えでいたため、4年前に事業の承継の準備をはじめていた。當間会長は「社長をすぐに交代するというのは現実的に難しい。事業承継には準備期間が必要」という。

 特に資産の譲渡はタイミングが重要となるため、会社の売り上げを見ながら、しっかりと計画して行わなければならない。「専門家に相談しながら進めていく必要がある」と話す。また、比留間社長は「事業を承継するうえで、自分より先に会長のもとで働いていた社員との関係がどうなるのか一番不安だった。現状を見据えて判断してもらうしかない」という気持ちで接することにしたという。「これまでのように会長1人に頼る組織から社員が自発的に仕事に臨む組織に変えていく」として、「まずは、自分とリーダー4人で会社を動かしていけるような体制づくりをめざす」考えだ。

 一方、親族外の役員・従業員への事業承継を行った石橋梱包運輸(千葉県山武郡)では、9月1日に役員の佐藤俊幸氏が社長に就任。創業者の石橋正好は会長(ファウンダー)に就任した。1985年に設立した同社は現在、従業員100人を抱え、事業も追い風に乗って順調に成長している。石橋会長が事業を承継させるにあたって「会社を守っていくこと」を最も重視した。

 石橋会長の息子も社員として同社で働いているが、「家族への事業承継にはこだわっていない」と話す。石橋会長は純粋に、会社や従業員の生活を守るためには、佐藤氏を後継者にすることが現時点で最善の選択だと判断した。佐藤社長について、石橋会長は「彼は入社当初から仕事に一生懸命で、なにより信頼できる。難しい時代になってきているが、時代の変化を取り入れながら会社を発展させて欲しい」と、期待している。

 事業承継の準備は、石橋会長が2年前に退任を考えて以来、粛々と進めてきた。同社では常に会社全体でコミュニケーションを重視してきたこともあって、新しい社長に代わっても人間関係で問題が生じることはない。佐藤社長は「会社の伝統を守りながら、これまで以上に風通しのいい会社にして、レベルアップを図っていきたい」とし、「会長の息子さんを後継者にできるように、しっかりと育ていきたい」としている。

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