COLUMN COLLECTION | 連載コラム

運送経営相談室

コヤマ経営・小山雅敬氏が経営者の疑問を解きます。

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。 平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。 中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

第140回:運送会社の残業代未払いトラブル対策

 近隣の同業者が残業代未払いで従業員から訴えられ、結果的に廃業しました。当社も同様の問題が発生しないよう対策を講じたいと思っています。どのような観点で進めればよいでしょうか?

現在、残業代未払い請求でもめている運送会社が多数存在します。全国の運送会社で同様のトラブルが発生しています。弊社はこれまでに、数多くの運送会社で賃金体系の見直し作業を手伝いましたが、残業代未払いトラブルを経験した会社から賃金改定の依頼を受けるケースが半数以上を占めています。二度と同様のトラブルを起こしたくない、または同業者の失敗事例を見て事前に対策を打ちたい、という理由で依頼がきます。問題の契機は通常、従業員(特にドライバーが多い)が労基署またはユニオン、弁護士事務所などに相談に行くことから始まるのですが、最近は弁護士事務所から突然内容証明が届くことが多いです。

 そのほとんどはネット経由での相談のようです。また、大半は退職後の従業員です。よく見られるのは、在職中に1か月間、日報やチャート紙などのコピーを取り、それをもとに過去2年分(または入社後の在職期間)に相当する残業代を推測計算し、請求してくるケースです。

 給与水準が比較的高い会社で残業代未払いトラブルが多く発生しています。これは、給与の高い会社のほうが未払い請求額も多いことが背景にあると思います。また、創業後初めてトラブルを経験したという会社が多いのも最近の特徴です。長期間安泰の時期が続き、脇が甘かったということだと思います。

 会社が入社時点で、本人に残業代の支払い方などを説明していても、従業員からは「聞いていない」と主張され、水掛け論になり、結果として会社側が負けるというパターンもよく見ます。これらのトラブルを回避する対策は、賃金体系を早期に見直す以外にありません。そもそも多くのトラブル事例の原因は、会社が法律を正確に理解しないまま、勝手な解釈で賃金を支払ってきたことにあるのです。今の賃金体系自体が不適切なのです。専門家に依頼して現状の賃金体系に問題がないかをすぐに点検し、問題があればトラブルが起こる前に改善しておくことです。トラブルになる前であれば、今の給与水準をベースに従業員の同意を得て、より合理的な新賃金体系に変えることが可能です。この決断を先送りにしている会社は近い将来、残業代未払いトラブルに直面するリスクが高いでしょう。

2017年11月17日 13:41

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