COLUMN COLLECTION | 連載コラム

射界 政治や経済、文化、歴史など、幅広い分野から現代社会に一石を投じる。様々な問題が生じる現代をどう生きるべきか、鋭い観点から示唆・提言します。

 植物学者の鈴木正彦さんが著わした『花・ふしぎ発見』(講談社ブルーバックス)という本に、「インドール」という物質が紹介されている。この物質、実はとんでもない悪臭を放つ物質だが、アルコール100万分の1で薄めると摩訶不思議、クチナシの花の香りになる...と書いてある。一部で香水の原料にも使われる。

 ▲この見事な変身ぶりを人間の性格に当てはめて、警告しているのが〝独眼龍〟の武将と仇名(あだな)されて活躍した伊達政宗だ。「仁過ぐれば弱くなる。義過ぐれば固くなる。礼過ぐれば諂(へつら)いとなる。智過ぐれば嘘をつく。信過ぐれば損をする」というのだ。どんなこともやり過ぎては逆効果となって災いになってしまうので、ほどほどにするのがよい、と戒めているのだ。

 ▲人の性分は、ともすれば独り善がりになって暴走する面がある。思いやりが過ぎれば軟弱になり、筋を通す心が強すぎると融通が利かなくなる。礼節が行き過ぎれば〝おべっか〟使いばかりが周辺に集まり、知恵が回り過ぎると、おかしな策略をめぐらして周囲をだましたりする。人を信じ過ぎても裏切られたりすることになる。何事も行き過ぎない程度で中庸を守れと戒めている教えだ。

 ▲人は「ほどの良さ」を願いながらも、時として限度を超えて走り出す傾向がある。事が終わって冷静になれば気付くことでも、その渦中にあるときは正しい判断力を失いがち。乱世にあって〝独眼龍〟と恐れられた陰に、政宗らしい処世訓が働いていたことを知るべきだ。「インドール」ではないが、「過ぎたるは及ばざるに同じ」と先賢も言う。何事も「ほどほど」がよいようだ。

2017年11月24日 18:22

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