在庫管理を行う上で出てくる「総平均法」はご存じでしょうか?この考え方を習得しておくだけで在庫管理のスキルアップにも繋がりますので、関係のある業務をされている方はぜひ参考にしてみてください。
総平均法とは
総平均法とは、棚卸資産の評価額を計算する方法の一つです。この方法は、一定期間の商品仕入原価を平均して期末の評価額を算出するものです。
例えば例えば、単価1,000円の商品を100個購入し、次に単価2,000円の商品を100個購入し、最後に単価3,000円の商品を100個購入した場合、購入した商品の総額は、1,000円×100個+2,000円×100個+3,000円×100個=600,000円です。これを購入した商品の総数(100+100+100)で割ると、1個あたりの単価は600,000円÷300=2,000円となります。
例えば、150個売り上げた場合、期末の棚卸資産は、(300-150)×1個あたり200円=300,000円と計算されます。しかし、会計期間末(すべての仕入原価が確定していない時点)までは、期中の販売用仕入原価を総平均法で計算することはできません。
総平均法と移動平均法の違い
棚卸資産の評価方法には、主に総平均法と移動平均法の2つがあります。
先ほど述べた1事業年度の総仕入価格から1個あたりの平均原価を算出する総平均法があります。この総平均原価は、最後の仕入れが行われた時点で計算されるため、販売時に特別な処理を行う必要はありません。
これに対し、移動平均法では、1回の仕入れごとに平均単価を算出する。そして、販売時には、その時点の平均原価で払い出すように取引処理を行う必要があります。この販売時の処理の違いが、総平均法と移動平均法での平均原価の違いの原因となっています。
総平均法のメリット・デメリット
それでは総平均法のメリットについてご紹介致します。まず、総平均法は、取得原価を計算する際に、期中のすべての仕入価格を考慮することを意味します。このため、一時的な価格変動があっても、棚卸資産の評価額に与える影響はほとんどありません。また移動平均法は違い、期中の払出単価の計算が必要ですが、総平均法では必要ありません。その結果、総平均法の方が計算量が少なく、より簡便な評価方法であるといえます。
ただし総平均法は、ある時点の平均原価を正確に算出することはできません。これに対し、移動平均法では、購入ごとの平均原価を正確に計算するため、販売時点の平均原価も正確に把握することが出来ます。
総平均法で在庫管理を行う方法
総平均法、移動平均法いずれかを用いて在庫管理、棚卸などを行われる際、どのようにすればより正確に出来るのかをご紹介していきたいと思います。
システムで管理する
在庫管理システムやクラウドERPなどは、在庫の過不足をなくし、正確な情報を把握するために、在庫情報や倉庫情報を管理するために使用されます。また、「商品数が多い」「複数人で在庫を管理している」「在庫情報を適切に共有できていない」などの問題を解決するためにも利用されます。業種・業態ごとの商習慣を踏まえ、各社の業務フローに合わせた適切な在庫管理を行うことで、在庫管理をはじめとするあらゆる業務の効率化を図ることができるのでおすすめです。
外部委託サービスを利用する
在庫管理の外部委託サービスは、商品を物流倉庫に預けてから、購入されたお客様に商品を発送するまでの一連の作業を絶え間なく行うものです。これらの業務を委託していただければ、購入された商品の倉庫への入庫時(入庫窓口から連絡あり)と受注・出荷時(出荷指示あり)以外は、実質的にお客様の物流業務がなくなります。また、実際の在庫は代理店から定期的に報告されますので、お客様が現地に赴く必要もなく、在庫に関する悩みは大きく軽減されます。
まとめ
移動平均法は、新規出荷のたびに平均単価を計算するのが面倒という欠点があります。しかし、常に最新の平均単価が把握できれば、販売時に損益が確定し、イレギュラーな価格変動の影響もすぐに把握できるため、意思決定がしやすくります。しかし、事業者によっては、移動平均法が適している場合もありますので、それぞれ検討する価値はあるかもしれません。